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AI文章の校正方法|禁止語だけに頼らないAIっぽさの直し方とは

「AI文章の不自然さを直すには?禁止語では防げないAIっぽさの校正方法」の要点と関係を整理した生成図解カバー画像

生成AIで作った社内文書や顧客向け文章を、自然で読みやすい日本語に整える方法を解説します。禁止語だけでは翻訳調や単調なリズムを直しにくい理由、Suikoを使ったAI文章の校正手順、誤字脱字の校正との違い、担当者が検査結果の採否を決める基準が分かります。

WRITTEN BY 株式会社atypical

はじめに

AI文章の校正では、禁止語を増やしても、指定した表現しか減らせません。 文の長さが揃う、同じ対比構文が続く、段落が同じ型で並ぶといった不自然さは残ります。

生成前に文体と読者を指定したうえで、生成後の文章に翻訳調や均一なリズムがないかを検査します。 最終的な修正の要否は、担当者が前後の文脈を読んで判断します。

禁止語だけではAI文章の不自然さを直せない

禁止語で抑えられるのは、登録した単語や言い回しです。 読者が感じるAIっぽさは、単語以外にも現れます。

たとえば「重要なのは」「多角的に」「〜と言えるでしょう」を使わないよう指示すれば、その表現は減らせます。 しかし、別の言葉で同じ書き方を繰り返せば、読者が受ける印象はあまり変わりません。

単語の指定だけでは、文の長さの偏りや構文の反復、均一な段落構造を見つけにくいという問題もあります。 これらの特徴は、複数の文や段落にまたがって現れるためです。

日本語の文体的特徴を調べた研究では、研究者がGPT-3.5とGPT-4の生成文を、人間が書いた学術文と比較しました。 その結果、品詞と助詞の並び、読点の位置、機能語の比率に異なる分布を確認しました。

ただし、調査対象は2023年時点のモデルと学術文に限られます。 この研究は、現在のあらゆるAI文章を判定できる証拠ではありません。 不自然さが特定の禁止語だけに現れるわけではないと考える材料にはなります。

日本語文章の文体的特徴を比較した研究

業務上の問題は、AIが書いたと見抜かれること自体より、文章の癖によって内容が伝わりにくくなることです。 顧客向けの記事では読者の信頼を損ねる可能性があり、社内文書では判断に必要な条件が定型表現に埋もれます。

AI文章は三つの領域に分けて確認する

AI文章には、誤字脱字がなくても、論旨やリズムの問題が残ることがあります。 確認する範囲は、次の三つに分けられます。

確認する領域主な対象業務上の目的
一般的な校正誤字脱字、表記揺れ、固有名詞、社内用語誤記や確認の手戻りを減らす
自然さの検査翻訳調、定型表現、文末や文長の偏り、対比の反復読みやすさと発信品質を安定させる
内容のレビュー事実、数値、対象読者、主張、公開可否誤情報や事業上の判断ミスを防ぐ

自然さの検査で文章を整えても、事実の正しさまでは保証できません。 事実、数値、主張、公開可否は、内容のレビューで確認します。

NISTの生成AIリスク管理資料では、組織が定めた指針と生成物を照合し、AIが生成した内容を検査する手順を挙げています。

NISTの生成AIリスク管理プロファイル

検査の担当者も事前に決めます。 広報文は広報担当者、商品説明は商品責任者というように、内容を判断できる人が確認すれば、文章の修正と事実確認を分けられます。

Suikoは自然さと読みやすさを検査する

AI文章の自然さを検査する手段として、Suikoがあります。 日本語文章の自然さと読みやすさを再現可能なルールで診断するコマンドラインインターフェース(CLI)で、全文から不自然な箇所を探す作業を補助します。

検出対象は、禁止語、翻訳調、定型的な対比、リズム、段落構造、語彙、英語的な語順の疑いです。 見出しと段落冒頭の抽出、略語と固有名詞候補の抽出、修正前後の結果を比較する機能もあります。

ただし、Suikoが文章を自動で全面改稿するわけではありません。 担当者が確認すべき箇所を絞るための検査ツールです。

公式READMEには、検査項目、導入方法、コマンド、一般的な校正との分担がまとめられています。

GITHUB · REPOSITORYSuiko公式リポジトリnwiizo/suiko

Suikoでは、誤字脱字、製品名の正規化、組織固有の表記統一を既存の工程で扱います。 現在の校正ツールや用語辞書を廃止せず、既存の工程へ自然さの検査を追加できます。

Suikoを使ったAI文章の校正手順

担当者ごとの判断の差を抑えるには、検査前に修正基準を共有します。 その後、生成条件の決定、下書き、Suikoによる検査、担当者の判断へ進みます。

  1. 読者と文章の目的を一文で決める

    「新サービスを比較中の事業責任者が、導入判断に必要な条件を把握する」など、誰のどの判断を助ける文章かを明記します。

  2. 生成時の制約を絞る

    結論を先に書く、根拠のない効果を断定しない、専門用語を説明するといった編集方針を指定します。 禁止語を大量に並べる必要はありません。

  3. Suikoで下書きを検査する

    開発担当者がSuikoを導入した環境では、次のように実行できます。

    suiko lint draft.md --genre business --json
    

    技術担当者がいない場合は、社内の文章生成基盤や公開前の確認工程へ検査を組み込む方法を検討します。

  4. 指摘を修正対象と除外対象に分ける

    担当者が指摘箇所の前後を読み、意味を明確にできる場合は修正します。 商品名、業界用語、意図した反復は、残す理由を記録します。

  5. 修正後に再検査する

    修正によって別の不自然さが生じていないかを確認します。 最後に担当者が最初から読み、事実、読みやすさ、発信元らしい言葉が保たれているかを確かめます。

指摘件数だけで評価すると、件数を減らすことが作業の目的になりかねません。 Suikoの公式説明でも、文末や文長の統計は文章の良否を決める値ではなく、局所的なリズムを確認する観測値とされています。

検査結果は読者の理解を基準に採否を決める

すべての指摘を修正しても、自然な文章になるとは限りません。 固有名詞や意図した反復まで一律に直すと、書き手の意図や文章の意味が変わるおそれがあります。

担当者は、読者の理解を妨げる箇所を修正します。 固有名詞や意図した表現を残す場合は、その理由を記録します。

修正時の確認事項は次のとおりです。

  • 主語と述語をすぐに把握できるか
  • 一文に複数の判断条件が詰め込まれていないか
  • 同じ結論を言い換えて繰り返していないか
  • 抽象語を具体的な対象や行動へ置き換えられるか
  • 修正後も書き手の意図と事実が保たれているか

同じ検出結果でも、文章の用途によって採否は変わります。 顧客向けの記事では、誰が何を根拠に述べているかを読者が確認できる状態を優先します。 社内文書では、決定事項、未決事項、担当者、期限が定型的な説明に埋もれていないかを確認します。

導入範囲は、最初から全社を前提にする必要はありません。 公開頻度が高く、修正の手戻りが多い記事や提案書を一種類選び、指摘箇所、採用した修正、確認時間を記録します。 その記録を基に、自社に必要な検査項目を判断できます。

まとめ

AI文章の校正では、禁止語や指摘件数だけを基準にせず、読者の理解を妨げる翻訳調や均一なリズムを検査します。 検査結果を既存の校正工程や生成時の指示へ反映し、最終的な修正の要否は、担当者が前後の文脈と事実を確認して決めます。

参考文献